研究紹介 RESESARCH

内科的側面からの
脳卒中克服を目指して

メンバー
藤堂謙一(教授・基幹分野長)、遠井素乃(講師)、星野岳郎(講師)、関美沙(助教)、樋口瑛子(助教)、細谷愛(助教)、新井里子(助教)、水野貴文(助教)、山岸沙衣(大学院生)、髙橋駿太郎(助教)、若生翔(助教)、石塚健太郎、白井優香、北川一夫

脳卒中研究班は当教室の主要な研究班です。前々教授の内山真一郎先生は、2011年日本脳卒中学会総会や2012年アジア太平洋脳卒中学会など、国内外の主要学会の大会長を歴任され、前教授の北川一夫先生も2019年日本脳卒中学会総会学術集会の大会長を務められました。2024年6月からは藤堂謙一先生が教授・基幹分野長に就任し、診療・研究・教育のさらなる発展に取り組んでいます。

当院は日本脳卒中学会より「一次脳卒中センター(Primary Stroke Center:PSC)コア」に認定されており、24時間365日体制で急性期脳梗塞に対するアルテプラーゼ(t-PA)静注療法および血栓回収療法を実施しています。2019年には9床のStroke Care Unit(SCU)が設立され、質の高い専門的脳卒中医療を提供しています。脳神経外科との密接な連携のもと、血栓回収療法やステント留置術をはじめとしたカテーテル治療にも積極的に取り組んでおり、専門医資格取得に必要な修練も十分に行うことができます。また、頚動脈超音波、経食道心臓超音波、経頭蓋超音波などの専門的検査を当科医師自ら実施し、超急性期治療から発症機序の精査、慢性期の再発予防管理に至るまで切れ目のない包括的なマネジメントを実践しており、脳梗塞診療のあらゆる局面を学ぶことができます。また、国内・国外(アメリカ、フランスなど)への留学実績もあり、個人の希望や熱意に応じて様々なキャリア選択が可能となっています。

研究面では、臨床・基礎の両側面から脳梗塞の発症メカニズムと病態の解明を目指した取り組みを展開しています。臨床研究では、当科の脳梗塞患者を全例登録する前向きコホート研究「TWMU Stroke Registry」を継続しており、これまでに Strokeや Neurology などの国際誌に多数の成果を発表してきました。また、無症候性脳梗塞、微小出血、白質病変を対象とした前向きコホート研究「TWMU SVD Registry」では、1000名以上の慢性期脳梗塞患者を登録し、認知機能、運動機能、神経超音波、電気生理検査などを組み合わせた脳小血管病研究を推進しています。その成果はHypertension Research や Journal of Alzheimer’s Disease などに公表されています。このほか、多数の大規模臨床試験に研究代表施設あるいは協力施設として参画し、エビデンス創出に貢献しています。

臨床研究の面白さは、得られた結果がすぐに目の前の患者さんに還元できることです。しかし、虚血に伴う脳損傷の病態生理の根本的な解明には動物基礎実験が欠かせません。これまで砂ネズミ、マウス、ラットなどの虚血モデルにおいて、脳にも自己防衛的な防御反応が備わっていることが明らかになっています。その一例が「虚血耐性」と呼ばれる現象で、前もって軽度の虚血負荷を加えてストレスをかけておくと、次に加わる重度の虚血侵襲に神経細胞が抵抗して生存するというものです。我々は、科研費基盤研究などの支援を受けて、本現象にストレスタンパク質、転写因子CREB活性化を介した遺伝子発現が関与していること、側復血行路の発達を介して脳梗塞を軽減することを、動物モデルを用いて明らかにしてきました。さらには、こうした基礎実験における成果を経て、ヒトを対象とした「脳梗塞急性期に対する遠隔虚血コンディショニングの有効性を検証する他施設共同無作為化非盲検並行群間比較試験:RICAIS」を主催し、全国の脳卒中センター12施設の協力のもと多施設共同RCTを行いました。基礎研究には自分で病態の本質を探究するという面白さがあり、さらにはその成果を臨床試験に発展させられるのは大学病院ならではの醍醐味です。若い先生方には是非一度基礎研究にチャレンジすることをお勧めしたいと思います。

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